電子帳簿保存法対応
ビジネスプロセスのデジタル化を合わせて進める、
電子帳簿保存法対応と業務効率化の実現
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法(以下、電帳法)とは、納税者の国税関係帳簿・書類の保存に係る負担の軽減等を図るために、その電磁的記録等による保存を容認しようとするものです。1998年に初めて施行され、その後2005年、2015年、2016年、2017年、2019年、2020年と改正が進められてきており、電子データ保存推進のために要件緩和の方向での改正となっています。
令和3年度の税制改正では、緩和だけではなく、電子取引においては紙文書での保存が廃止され、2022年1月からは必ず電磁的記録として保存することが求められることになりました。(但し令和4年1月1日~令和5年12月31日は宥恕措置あり)
電帳法改正内容と、必要な電帳法対応
令和3年度の税制改正により、電子取引においては従来の紙で文書保存が廃止となり、同時に電磁的記録の保存が義務化されました。この電磁的記録に関して隠蔽や仮装された事実があった場合には、その事実に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税が10%加重される措置が整備されたことにより、令和5年12月31日までに対応が必須となります。
改正ポイント | 内容 |
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承認制度の廃止 | 国が求める基準を満たし、電帳法に対応したシステムが準備でき次第、電子保存の開始が可能。 |
タイムスタンプ要件の緩和 | スキャナ読み取りの際の受領者の自筆署名は不要。また、タイムスタンプの付与期間が3日から最長2ヶ月+7営業日以内に緩和。 |
検索要件の緩和 | 必須要件は取引年月日・取引金額・取引先のみに緩和。範囲指定や組み合わせの機能確保は税務職員の電子データDLの求めに応じれば不要。 |
適正事務処理要件の廃止 | 社内規程整備を行う適正事務処理要件が廃止。原本はスキャナ後すぐに破棄が可能。ただし不正があった場合の重加算税の加重措置が整備された。 |
電子取引の紙保存廃止 | 電子データの保存が義務化。電子取引データの保存要件に則った管理以外は、「国税関係書類の帳簿保存義務を果たしていない」とみなされる。 |
電帳法の対象帳票
電子化を行う対象の帳簿・書類の種類により、電帳法の法令要件は異なります。国税関係帳簿や決算書類の電子データについては基幹システム(ERPや会計システム)での対応が一般的ですが、スキャナ保存や電子取引は、保存要件が細かく決められており、対応するためには専用のシステムが必要となります。
特に、取引先から紙で受領するケースが多い取引関係書類については、商法等に基づいた長期保存に対応するため紙文書の保管コストも年々増加することになり、価格の安いストレージ上で電子データとしての保存対応を進めていく必要があります。また、近年ではリモートワークの普及により、紙に押印をするという業務も出社の手間や印刷コストも無駄と捉えられ、電子取引が増加している傾向にあります。
対応のポイント
電帳法対応を進めるうえで、単なる法令順守の対応だけでは投資対効果がプラスにならず、場合によっては業務プロセスの増加・複雑化による業務効率の低下リスクが発生します。そのため、電帳法対応に合わせてビジネスプロセスのデジタル化を進めることで、業務効率化だけを目的としたプロジェクトを実行するよりもコストを抑制でき、投資対効果の最大化が可能となります。
新業務プロセスをベースとした業務効率化
業務整理 / 効率化の機会として電帳法対応を有効活用し、法令対応に関わる周辺業務を含めて検討を進め、効率化の必要性を現場に意識付けることにより「現場自ら改善していく意識」を醸成していきます。
課題対応の優先順位設定
投資対効果を測定し、優先順位を設定して効果の高い施策から実施します。スモールスタートで進めて順次改善を行うことで、現場が理想とするプロセスに徐々に近づけます。
デジタルプロセスの推進
法令要件に基づく対応では、人的ミス・イレギュラー・リスクは最小化する方がよいことと、昨今の人的リソース確保の難しさを考慮して、可能な限り自動化していくことが望ましいです。業務効率化に加えてデジタルプロセス化(ペーパーレスやオートメーション)を検討することで、社内の様々な業務に適用していきます。